目次

  1. Difyとは?(要点と結論)
  2. できること:ワークフロー / エージェント / RAG / モニタリング
  3. クラウド版の料金と試用方法
  4. ローカル(オンプレ)導入:Dockerで最短構築
  5. 実務ユースケースと設計テンプレ
  6. 運用設計:セキュリティ、ツール連携、観測性
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ

1. Difyとは?(要点と結論)

Dify(ディファイ)は、業務で使えるAIアプリを「作る・回す・改善する」ためのOSSプラットフォームです。
ドラッグ&ドロップで組めるワークフロー、道具を使い分けるエージェント、社内文書を参照するRAG、そしてモデル/キー管理ログ・評価まで、必要な機能をひとつにまとめています。利用環境はクラウド(Dify Cloud)とローカル(Docker)から選べます。


2. できること:ワークフロー / エージェント / RAG / モニタリング

ワークフロー
入力 → 前処理 → LLM推論 → ツール実行 → 出力。処理のつながりをキャンバス上で見える化できます。分岐・並列・サブフローで、あとからの変更も怖くありません。

エージェント
検索、DB参照、社内API呼び出しなど、必要な「道具」を使いながら自律的にタスクを進めます。FAQの自動回答だけでなく、見積作成や在庫照会のような手続きにも向きます。

RAG(社内文書参照)
PDFやHTML、社内Wikiを取り込み、分割→埋め込み→検索→引用付き回答までを一気通貫で構築。回答と一緒に根拠を返せるので、現場の納得感が高まります。

モニタリング/評価
実行ログやA/Bテストの結果を見ながら、プロンプトや分岐条件を調整。数字で改善サイクルを回せるのがDifyの強みです。


3. クラウド版の料金と試用方法

まずはDify Cloudの無料枠から始めるのが手軽です。アカウント作成後、OpenAIなどのキーを登録すれば、用意されたテンプレがすぐ動きます。
本番運用を見据えるなら、有料プランに切り替えてチーム利用や実行上限を拡大できます(最新の価格は公式を確認してください)。


4. ローカル(オンプレ)導入:Dockerで最短構築

前提:Docker / Docker Compose が使えること(Windows / macOS / Linux いずれもOK)

手順はシンプルです。

  1. リポジトリ取得:git clone https://github.com/langgenius/dify.git
  2. 設定調整:.env でDBやストレージ、各種キーを設定
  3. 起動:docker compose up -d
  4. 初期設定:ブラウザで管理ユーザー作成 → モデルキー登録 → サンプル実行

機微情報を扱う部署オフライン前提の現場では、ローカル運用の安全性が魅力的です。


5. 実務ユースケースと設計テンプレ

5-1. 社内ナレッジの即答(RAG+根拠提示)

  • ねらい:一次解決率アップ/回答時間の短縮/属人化の解消
  • 基本形:取込 → 分割 → 埋め込み → 検索 → 引用付き回答 → フィードバック反映

5-2. コンタクトセンターの一次受け(エージェント)

  • ねらい:AHT短縮/CSAT向上/オペ負荷の平準化
  • 基本形:意図分類 → 必要情報の聴取 → CRM・在庫・決済API呼び出し → 記録&引継メモ自動生成

5-3. 多言語ECサポート(翻訳→要約→返信テンプレ)

  • ねらい:品質の均一化とスループット向上
  • 基本形:商品・規約のRAG + 翻訳 → 要約 → 返信文生成

5-4. 社内申請の自動化(文書生成・点検)

  • ねらい:定型業務の短縮とミス削減
  • 基本形:フォーム入力 → LLM生成 → ポリシーチェック → 保存/承認フローへ送付

6. 運用設計:セキュリティ、ツール連携、観測性

セキュリティ
アクセス制御と鍵管理、ログ保全、PIIマスキングは最初から設計に含めましょう。ローカル運用なら持ち出し制御もしやすく、監査の筋道が立ちます。

ツール連携
HTTPコールや関数実行で既存システムと疎結合に連携できます。まずは読み取り専用から始め、問題なければ書き込み系に拡張するのが安全です。

観測性(Observability)
ログ/評価/A/Bの指標をダッシュボードで見える化。PromptOps / LLMOpsの回しやすさが継続改善の鍵です。


7. よくある質問(FAQ)

Q. コーディングは必要ですか?
A. 必須ではありません。多くはキャンバスで完結します。とはいえ、HTTPや関数で拡張できるので、PoCはノーコード、本番で少しコード――という進め方が現実的です。

Q. まずは無料で試せますか?
A. はい。Dify Cloudの無料枠でテンプレを動かし、手応えをつかんでから有料プランやローカル運用に進むのがおすすめです。

Q. 社外に出せないデータがあります。
A. ローカル(Docker)運用を検討してください。ネットワーク境界の内側で閉じられるため、審査や監査の説明がしやすくなります。


8. まとめ

  • 作る・つなぐ・回すを、Difyはひとつの基盤にまとめています。
  • まずはクラウドの無料枠でテンプレを動かし、次にDockerの最小構成で社内データを使ったRAGを試しましょう。
  • 改善は数字から。一次解決率応答時間運用コストを見ながら、プロンプトとフローを育てていくのが効果的です。