
Dify(ディファイ)とは?10分で業務AIツールを内製できるOSSプラットフォーム徹底解説【2025年版】
目次
- Difyとは?(要点と結論)
- できること:ワークフロー / エージェント / RAG / モニタリング
- クラウド版の料金と試用方法
- ローカル(オンプレ)導入:Dockerで最短構築
- 実務ユースケースと設計テンプレ
- 運用設計:セキュリティ、ツール連携、観測性
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. Difyとは?(要点と結論)
Dify(ディファイ)は、業務で使えるAIアプリを「作る・回す・改善する」ためのOSSプラットフォームです。
ドラッグ&ドロップで組めるワークフロー、道具を使い分けるエージェント、社内文書を参照するRAG、そしてモデル/キー管理やログ・評価まで、必要な機能をひとつにまとめています。利用環境はクラウド(Dify Cloud)とローカル(Docker)から選べます。
2. できること:ワークフロー / エージェント / RAG / モニタリング
ワークフロー
入力 → 前処理 → LLM推論 → ツール実行 → 出力。処理のつながりをキャンバス上で見える化できます。分岐・並列・サブフローで、あとからの変更も怖くありません。
エージェント
検索、DB参照、社内API呼び出しなど、必要な「道具」を使いながら自律的にタスクを進めます。FAQの自動回答だけでなく、見積作成や在庫照会のような手続きにも向きます。
RAG(社内文書参照)
PDFやHTML、社内Wikiを取り込み、分割→埋め込み→検索→引用付き回答までを一気通貫で構築。回答と一緒に根拠を返せるので、現場の納得感が高まります。
モニタリング/評価
実行ログやA/Bテストの結果を見ながら、プロンプトや分岐条件を調整。数字で改善サイクルを回せるのがDifyの強みです。
3. クラウド版の料金と試用方法
まずはDify Cloudの無料枠から始めるのが手軽です。アカウント作成後、OpenAIなどのキーを登録すれば、用意されたテンプレがすぐ動きます。
本番運用を見据えるなら、有料プランに切り替えてチーム利用や実行上限を拡大できます(最新の価格は公式を確認してください)。
4. ローカル(オンプレ)導入:Dockerで最短構築
前提:Docker / Docker Compose が使えること(Windows / macOS / Linux いずれもOK)
手順はシンプルです。
- リポジトリ取得:
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
- 設定調整:
.env
でDBやストレージ、各種キーを設定 - 起動:
docker compose up -d
- 初期設定:ブラウザで管理ユーザー作成 → モデルキー登録 → サンプル実行
機微情報を扱う部署やオフライン前提の現場では、ローカル運用の安全性が魅力的です。
5. 実務ユースケースと設計テンプレ
5-1. 社内ナレッジの即答(RAG+根拠提示)
- ねらい:一次解決率アップ/回答時間の短縮/属人化の解消
- 基本形:取込 → 分割 → 埋め込み → 検索 → 引用付き回答 → フィードバック反映
5-2. コンタクトセンターの一次受け(エージェント)
- ねらい:AHT短縮/CSAT向上/オペ負荷の平準化
- 基本形:意図分類 → 必要情報の聴取 → CRM・在庫・決済API呼び出し → 記録&引継メモ自動生成
5-3. 多言語ECサポート(翻訳→要約→返信テンプレ)
- ねらい:品質の均一化とスループット向上
- 基本形:商品・規約のRAG + 翻訳 → 要約 → 返信文生成
5-4. 社内申請の自動化(文書生成・点検)
- ねらい:定型業務の短縮とミス削減
- 基本形:フォーム入力 → LLM生成 → ポリシーチェック → 保存/承認フローへ送付
6. 運用設計:セキュリティ、ツール連携、観測性
セキュリティ
アクセス制御と鍵管理、ログ保全、PIIマスキングは最初から設計に含めましょう。ローカル運用なら持ち出し制御もしやすく、監査の筋道が立ちます。
ツール連携
HTTPコールや関数実行で既存システムと疎結合に連携できます。まずは読み取り専用から始め、問題なければ書き込み系に拡張するのが安全です。
観測性(Observability)
ログ/評価/A/Bの指標をダッシュボードで見える化。PromptOps / LLMOpsの回しやすさが継続改善の鍵です。
7. よくある質問(FAQ)
Q. コーディングは必要ですか?
A. 必須ではありません。多くはキャンバスで完結します。とはいえ、HTTPや関数で拡張できるので、PoCはノーコード、本番で少しコード――という進め方が現実的です。
Q. まずは無料で試せますか?
A. はい。Dify Cloudの無料枠でテンプレを動かし、手応えをつかんでから有料プランやローカル運用に進むのがおすすめです。
Q. 社外に出せないデータがあります。
A. ローカル(Docker)運用を検討してください。ネットワーク境界の内側で閉じられるため、審査や監査の説明がしやすくなります。
8. まとめ
- 作る・つなぐ・回すを、Difyはひとつの基盤にまとめています。
- まずはクラウドの無料枠でテンプレを動かし、次にDockerの最小構成で社内データを使ったRAGを試しましょう。
- 改善は数字から。一次解決率、応答時間、運用コストを見ながら、プロンプトとフローを育てていくのが効果的です。